PROGRAM NOTE

「逆さまの世界にて」

 

きっと惹かれあうと ずっと君はわかってた
逆さまの世界にて
もっと欲しくなるね 決して混ざりあえないのに
逆さまの世界にて

 

比べようがないならいっそ 幸せだったと
諦められないと知った 君は絶望に咲くHonesty

 

広がる(広がる)大地に今 立ち上がる
冷たい(冷たい)雪原に阻まれても(逃げない)
感じて(感じて)息吹く前の ぬくもりを
いつか(いつか)救いたい 未来の手がかりに

 

きっと憧れてた 顔も知らないままに
逆さまの世界にて
こんなわたしのこと 君は求めてくれるの?
逆さまの世界にて

 

凍えるほどの虚しさと 灼かれるような怒りで
だけど伝えたがってるのは 君も同じだと思うから
(We must be alive)

 

拓いた(拓いた)あれは誰の 道しるべ
燃える(燃える)灼熱が消し去ろうと(嘆かない)
信じて(信じて)その鼓動の 高鳴りを
いつか(いつか)これこそが 兆しだったとわかる

 

まだ細く 小さくても 生命(いのち)の叫びに 耳をすます

 

広がる(広がる) 大地に今 立ち上がる
冷たい 雪原に阻まれても(逃げない)
感じて(感じて)息吹く前の ぬくもりを
いつか 救いたい 未来になる

 

拓いた(拓いた)あれは誰の 道しるべ
燃える(燃える)灼熱が消し去ろうと(嘆かない)
信じて(信じて)その鼓動の 高鳴りを
いつか(いつか)これこそが 兆しだったとわかる

 

From my side of the world
From your side of the world
きっとこの声は いつか重なるの

 

● 解説 ●
さて、《逆さまの世界にて》が「天上の音楽」と感じる理由はなんでしょう。

この曲は、私自身歌っていて、その旋律の美しさを身にしみて感じます。サビの解放感溢れる高音、天から降り注ぐようなラストの三声のハーモニー。Kleissisの「女性ボーカルユニット」としての強みが遺憾なく発揮される楽曲です。

そんな美しい歌声を乗せるのは、勢いのあるリズム隊。ドラムやベースが深く鳴り、エンディングのツーバスはもはやプログレッシブメタル。この曲のサウンド面の特徴は「低音」なのです。この低音が、「深い森」「広大な大地」「厚い雲」のようなイメージを与え、そこに乗る滑らかなメロディーが、そういったものを俯瞰で(天から)見下ろしている…そんな感覚にさせてくれるのではないでしょうか。

この曲で、注目してほしい歌詞があります。「こんなわたしのこと君は求めてくれるの?」――これまで「自己の外側(の世界)」について歌ってきたKleissisですが、はじめて真正面に「自己の内側」から出てきた言葉。この歌詞を見たとき、世界を救済する女神たち、そんな彼女たち自身への救いの言葉だと、胸を打たれました。女神であると同時に、弱さも脆さも抱えた女性らしさ。そういった要素が織り交ざり、この歌を「優しさ」が包み込んでいるように感じます。弱さがあるから優しさを知る。人間と同じですね。

イントロ、間奏等で効果的に使われるのはハープの音色。音楽の神アポロンは、その音色で罪を清め、怒りを鎮めたといいます。これも、荒廃した世界からはじまった彼女たちへの、救いの一手と感じる…のは、さすがに女神たちに感情移入しすぎでしょうか。