PROGRAM NOTE

「決断のDivergence」

 

何を奪われていたんだろう? Ah, 気づきもしないでずっと
風に震える歌声 これが世界 そう、ただそれだけ
Somebody said

 

逆らいはじめている 気づかれてしまうよ
今は不確かな感情 顔のない自画像
君が呼んでいるの?

 

光さえまだ知らない 生まれたての鳥のように
だけど時間はもう戻せない
正解のない未知へ さあ始まりの決断を
ここが ここが 最初のDivergence

 

定めを外れて見上げる Ah, 空はどこまでも遠く
まるで違う光景に見えている そう、昨日はもう終わったね

 

促す熱の理由 実態のない混沌
誰も隠さない激情 ぶつけあう自意識
いつか君が望む世界で会おう

 

光さえまだ知らない 生まれたての鳥のように
だけど時間はもう戻せない
正解のない未知へ さあ始まりの決断を
ここで ここで

 

救いならまだいらない 羽ばたきたい傷ついても
痛みの先にある明日へ
全部変わってしまう いつか思い出す決断を
ここで ここで 重ねるDivergence

 

● 解説 ●
Kleissis 5曲目の本作は、はじめて音楽配信という形をとり、カップリング曲なしで提供しました。私はこの楽曲を、「第一期Kleissis」集大成と位置づけたいです。

韓国宮廷ドラマを彷彿とさせる、壮大なイントロ。そこにたたみかける、メタル感溢れる艶々のギターリフ。リズム隊は疾走感の塊。ストリングスはこれまで以上に音の厚みを増し、確かな存在感を発揮。極めつきは間奏、シンフォニックなストリングスから、歪んだギターソロへ自然と繋がっていきます。この、日本人の琴線に触れる、泣きのツインリードギター。明らかに、強い。これまでの4曲で特徴付けられたKleissis楽曲の要素を、パワーアップさせてぎゅっと凝縮させたようなラインナップです。率直な感想は、「Kleissisの『強さ』、ここに極まれり」。

そして、この楽曲で歌っているのは「はじまり」です。「ここが最初のDivergence」――分かれ道(Divergence)、女神たちは決断し、それぞれ歩みだす。何かを決断することは、得体の知れない恐怖、過去との決別、変化から逃げない覚悟、多くの壁を乗り越える必要がありますが(その決断が大きければ大きいほど)、全てを凌駕する「強さ」を身に着けた「決断」だと、感じさせてくれるほど、この曲は強い。(《逆さまの世界にて》でやっと救いが表れたと思ったら、ここで「救いならまだいらない」と歌ってしまう…あぁ、あなたたち(私たち)は立ち止まらないのね、と、個人的に胸を熱くしています。)

音楽面の集大成、はじまりを歌った歌詞。《決断のDivergence》は、力強い一歩を踏み出す、決意と情熱に満ちた、Kleissisはじまりの歌です。